第1章

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すまん。海斗。ゆきちゃん。仇は必ず取るからな。 僕は念のため隠し球をインストールしていた。検索しているときに気に入ったものだ。ヘルメット越しに見える照準と右腕の神経回路をつなぐ連動装置だ。正確な射撃が可能となる。 「お前らが本当に伝説の3人組か?……他愛のないことよの~。連勝記録もここまでだな」 シンゲンが得意げに俺にロケットランチャーを振り向ける。 「ちょっと待ってくれちょっと待って。頼む。ちょっと待ってください」僕はペコペコと頭を下げた。シンゲンがあからさまに見下した表情を浮かべる。ロケットランチャーを肩に担ぎ上げ、ゆっくりと近づいてくる。シンゲンにマグナム弾を撃ち込むにはちょっと距離が足りない。ヘルメット内の照準装置がそう告げている。 「なんだ?何か言い残したい事でもあるのか?」 そうだ。もう少し近づいてこい。もうちょっと…… 「そうなんだ。死に際に僕の母に伝えて欲しいんだ……ちょっと耳を貸してくれ」 「ヌワハッハハハ……!お前面白いこと言うなぁ。母の記憶なんかあるまい」シンゲンが一歩一歩近づいて来る。全く無防備だ。それはそうだろう。僕は瀕死の重体だ。もっと来い…… その時、僕のヘルメット内の照準装置がついにピピッと音を立てた。渾身の力で右手を操作する。重い。上がれ上がれ! ピーと照準装置がOKサインを出す。照準が合った!よし!シンゲンがハッと何かを悟ったような顔になった。しかし、もう遅い。 右手のマグナム234が火を噴く。弾丸が僕の脊髄を砕き胃を貫通して腹から飛び出し真っ直ぐにシンゲンの額に向かう。シンゲンが弾かれたように後方へ吹っ飛ぶ。やった! やったぞ!ゆきちゃん。海斗。 《シンゲン上位影武者ーSSコイン3000》 え!嘘~。まだいたのかよ。影武者。自分の腹から大量の血がドボドボと吹き出している。ブラックアウト ACT-1000 【GAME OVER】
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