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木枯らしが吹き始め、本格的に冬が訪れる。
いつも通り彼女と二人の帰り道。
「ねぇ修二、本当にクリスマスの予定ないの?」
修二、それは自分の名前だ。
坂下 修二(サカシタ シュウジ)、高校一年生。
「まあ、まだ二ヶ月先だし。早すぎだろ」
「そんなこと言ってると、あっという間に来ちゃうよ!」
お節介をやいてくれているのは、幼馴染の一宮理穂(イチミヤ リホ)。
家が隣同士で親も仲が良いので、昔からよく遊んでいた。
「何もないなら、家でゲームでもやってるよ」
「でたでた。お決まりの逃げ道」
「逃げ道じゃない。有効な時間活用だ」
「じゃあ、そういうことにしておいてあげましょう」
「何だよ、その言い方」
「悔しかったら、彼女とデートとか言ってみたら?」
「それができたら苦労しねえよ」
「もう、諦め早いんだから」
「なら、理穂はどうなんだよ」
「私? 私は気になる人いるよ」
「誰なんだ?」
「それは……内緒だよっ」
理穂はそう言うと小走りで先に行ってしまった。
恥ずかしさからだろうか。
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