素直

16/21
81人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
お風呂から上がると、翔ちゃんはソファーに座りながらパソコンをしていた。 そこに近づきながら、声をかける。 「何してるの?」 「資料作ってるの。」 「何の資料?」 「夏祭りの資料。」 「ふーん。」 そう言って、翔ちゃんの横に腰掛ける。 そっか、もうそんな時期か。 今は6月。7月に入れば期末テストがあり、それが終われば夏休みになる。 学校の夏祭りは、文化祭とは違い、主に保護者と先生達が屋台を出してくれる。 最後には花火も校庭であげてくれ、その花火を一緒に見たカップルは幸せになれるとか。 いつか私も翔ちゃんと見れたらな…なんて。 「あかね、髪濡れてる。」 私が妄想に浸っていると、翔ちゃんが私の髪を一束すくい、心配そうに見てきた。 「本当に風邪引くよ。」 「大丈夫だよ!もうすぐ夏だし。」 「関係ないよ。ドライヤー持っておいで。」 「うん。」 翔ちゃんは変に心配性なのだ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!