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「…芸能人なんかになりやがって」
呟かれた声は、始業を知らせるチャイムの音に掻き消されて、聞き取ることが出来なかった。
オレは侑悟の様子が気になりながらも、渋々席に戻る。
…なんなんだよ…。
オレは気持ち切り替えが出来ないまま、ノートを開いて黒板に書かれた文字を惰性で書き写していく。
侑悟はオレの後ろの席だから、今どんな顔をしているのか窺うことが出来なくて、オレは悶々とした気分のまま、先生の顔を見るでもなく眺めていたら。
「なんだ?新城。質問か?」
なんにも聞いていなかったオレは急に呼ばれてびびった。
…先生の顔なんて見るもんじゃねぇな。
「いえ。…大丈夫です」
オレが誤魔化すようにヘラっと笑うと、先生は何故か少し赤くなった。
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