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ちょっと前の雷樹達は。
「お二人とも大丈夫でしょうか」
僕は少しトーンを落として言った。
「大丈夫よ。二人は強いから」
朱鷺葉が不安をぬぐってくれようとする。
しかし、不安は消えない。
「お二人が強いのはわかっています。しかしそれだけではレベル6とは言えど羽金湊に勝てません。あいつの能力は"透明な爆弾魔"と"悪魔の微笑み"です」
「透明になる爆弾と悪魔の加護の能力ね。勝てるわよ。ミオは万能系能力だし、カエデはSSクラスの魔法使いだもの」
「それも……そうですね」
朱鷺葉は顎に手をついて窓の外を眺めた。
僕もつられて外を見る。
辺りは夕闇に染まりつつあって、各々の住宅などに人工の光が灯り始めていた。
「……」
「……」
話すことが無くなり、少しの沈黙。
沈黙を破ったのは朱鷺葉の方だった。
「帰ってきたら休めるようにご飯つくりましょう」
「!……はい!カエデが驚くような美味しいご飯作りましょう!」
「いい心意気ね。さあ、作りましょうか」
朱鷺葉が立ち上がり、キッチンへ向かう。
僕も立ち上がって朱鷺葉の後を追う。
カエデ達に喜んでもらえるように。
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