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ミオは神風に信号を送りつつ、自分でしときながら「してない」と嘘つくのは実に愉快らしい。
肩を震わせて「ふふ、ふふふ」と笑っていた。ツボが可笑しくないか?
「大丈夫か?」
澪の頭をぽんと撫でる。
「わっ」
小さく悲鳴が聞こえた。
笑いをこらえているからか、顔が赤くなっていた。
「……大丈夫じゃないよ……」
澪がなにかをボソッと呟いた。あまりにも小さく呟いたもんだから、聞こえなかった。
「なにか言ったか?」
「いや、別に」
目を逸らしてまだ赤い顔を俺とは反対の方に向けた。
「…?ミオ?」
顔を覗き込むとミオは飛び上がった。
「うわ…うわあぁぁあっ!」
ミオは叫んだ。
そのせいか、壁の向こうで気配がこちらに気づいた。
俺は顔の赤い姉をジト目で見て立ち上がる。
「あーあ。バレちゃったじゃんか。折角の余興が……」
「ご、ごめんっ!」
さっきのやり取りの中、俺達はずっと信号を的確に送っていた。
***
うわ…うわあぁぁあっ!
何かの声が外の方から聞こえた。
湊は横に視線を投げ、透視する。
すると、魔力を大量に纏った生命体が、もといミオ達が立ってこちらを見ていた。
「っ!?なぜっ!?」
否、あるはずがない。澪達は下にいるのだ。魔力も強い。
では、壁越しの横にいるのは誰だ?
混乱していると壁にミシミシとヒビが入っていく。
ドガァァァァァンッッ
舞う土煙に眼を細め、入ってきた人物達に眼を見開く。
壁を破壊して入ってきたのは、
「お前が羽金湊?ボク達は犯罪取り締まり係。大人しく捕まりなさい」
本物のロミオ・アルマリナとエリアルデ・スミラスの二人だった。
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