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「ふん。だれが捕まるものか!!」
湊が、三つに編みこんだ髪の毛を揺らして、睨んできた。
「三井さん。死んでたんだね」
ミオが冷たい声を放ち、怒っていることがわかった。
「……だから?……私の敵になるなら殺す。鉄羽の悪魔!」
湊が叫ぶと、湊の腰の辺りから鉄の羽根が生える。
眼帯のような黒い布?で右半分顔を覆っているのと、服装を合わせてなんか凄い。
背後には悪魔が嘲笑ってたし。
「どーするよ。ねーちゃん」
俺が珍しく姉呼ばわりすると、ミオは眼を丸くしてから笑って言った。
「エリアルデがスペリア使えば良いじゃん」
「うーん……わかった。はなれてて。教会破壊されるかも」
「オッケー」
ミオは降りると、三井の亡骸を持った鳴神達と外に出た。
俺は湊の前に向き直り、ポケットの物を掴んだ。
「下、降りようか」
「……いいだろう」
俺たちは屋根裏から飛び降りた。
***
教会から鳴神達と出てきた私は、楓の樹が植えられている根元に来た。
『澪殿』
「ふぇ?」
不意に話しかけられて変な返事になってしまった。
気を取り直して用件を聞く。
「…けほ…えっと、なに?」
『この屍はどういたそう』
「三井さん…家族いなかったからな。ボクが埋めて葬るよ」
『澪殿は優しいのだな』
鳴神は担いでいた死体を私に渡した。
「……まぁ、恩人の一人だからね……」
死体を受けとると私は小さく、誰にも聞こえないように呟いた。
死体を担ぎ、辺りを見渡す。
そこで良い感じの丘を見つけた。
その丘へ歩みを進める。
後ろから鳴神と神風もついてきた。
教会の方からくぐもった、何かがめり込んだ音が聞こえた。しかし、弟を信じて今することを実行することにした。
丘に能力で強化した体で穴をほり、死体を炎で火葬する。
骨となった死体を穴に入れていた棺桶に納める。
土を戻し、墓を作る。
墓に’三井 和海’と、彫って額に滲んだ汗を拭う。
「おやすみ。三井さん」
微笑んで丘から飛び降りた。
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