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「まさかスペリアを使う日が来るとは……」
俺は小さく呟いて黒い鋼の羽を持つ悪魔を見た。
彼女は、両手に半透明の糸を持って、俺を睨んでいた。
瞬きをした瞬間。視界から彼女が消えた。
「っ!?」
眉をひそめた瞬間にわき腹に強い衝撃があり、体が壁にめり込む。
「ぐあっ……!?」
今来ている軍の服は耐性に優れているのだが、それすらも超える湊の蹴りだった。
「ぐっ……ぅ…」
めり込んだ体に湊の高速パンチが繰り返し命中する。
全身の骨が砕けるような感覚に陥ったが、俺はポケットの中の物を握りしめながら隙を窺う。
身体中からは既に鮮血が吹き出ていた。
「ふんっ。ずいぶん貧弱だな小僧。それでも取り締まり係か?」
湊が拳を下ろし、俺に向かって言葉を吐いた。
俺がその隙を見逃すはずもなく、物を取りだし、上に投げた。
「何だそれは」
湊は俺から投げた球体、スペリアに視線を移した。
それを利用して俺は自力で透明化を使用。
続けて無音化も使い、壁から離れる。
湊はまだスペリアを見ていて、気付いていない。
「…形態03【ウェザー】」
俺の呼び声に答えたスペリアは虹色の光を出しながら渦を巻き、形を変えた。
灰色になったコアに雷土型と針のようなパーツがくっついていて、周りに白い物体がいくつか浮遊していた。
ウェザーフォーム。スペリアの形態03。
今回はこれで片付けようか。
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