1人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
場所は変わり雷樹、朱鷺葉の部屋。
「仕事何がある?」
「不法侵入の次は仕事探しですか?飽きないですね」
少女の容姿の少年、叶雷樹がいつものようにため息をつく。
「おや?このマンションただで貸してるボクたちに不法侵入の四文字とは何様のつもりかな?叶くん」
悪い顔になったミオにいつも正論を言われて視線を背ける雷樹。
そこで1つ、非難の声が上がった。いつものことだ。
「雷樹をいじめないで。私が容赦しないわよ。お金無いのは当たり前じゃない。君達が異常に持ってるのよ」
朱鷺葉だ。
漆黒の前髪の隙間から覗く菫色の瞳が冷たくミオを射ぬいていた。
俺も同調する。
「そうだぞミオ。雷樹達は軍に所属しているとはいえまだ未成年なんだぞ。お金が無いのは朱鷺葉の言う通り仕方ない」
俺は少し怒ったような声を出す。いつものように。
兄弟以外の二者は「あなた達姉弟も未成年じゃないの?」と思ったが、それには触れない様で。
「それは……うぅ。ごめんね叶くん」
ミオは「言い過ぎた」と反省した。
このやり取りをいつもしていたら流石に飽きる。いや、もう二回目くらいから飽きてたかな?
そこで俺は本題を思い出す。
「あ…仕事何があるか聞きに来たんだった」
「はっ、そうでした」
雷樹は我に帰り、資料を出す。
長い髪を揺らしながらペラペラと紙を捲って、俺達に合う仕事を探す。
女子のように。
俺は
……いつも皮肉とか言いながらいつもやってくれるよなぁ……
とか、ぼんやり考えていた。
ふと、雷樹の手が止まる。
「あ、これどうですか?」
雷樹が開いたページは指名手配犯の写真に『この顔を見たら犯罪取り締まり係まで』と書かれたポスターと詳細。
……こんなポスター作ったことあったっけ?
「罪は大量殺人。4年前のテロ組織のリーダーと思われる人物ですね。レベル6です。やります?」
俺と澪は頷き、答えた。
「やる」
二人が答えた瞬間そのページに受理、と印が押された。
どういう原理で成り立っているのか。
「犯人の名前は羽金湊です。お気をつけて、お二人とも」
「行ってらっしゃい」
雷樹と朱鷺葉は俺達に別れを告げた。
「「行ってくる」」
最初のコメントを投稿しよう!