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マンションを出た俺と澪は早速"羽金湊"を公園で探していた。
「3ヶ所まで絞れた」
ミオは"カエデ特製豆大福"をついばみながら、地図に印をつけた。
彼女の足元には花弁が積もっている。
「ん、俺の番か。えっと…"直勘"」
俺は受け取った地図を指でなぞる。
なぞった場所に紫色の光が浮かび上がる。
紫色の光の線と、ミオが書いた印が重なる場所がひとつあった。
「ここか」
俺が指したのは第七華条区教会。
「ん?教会……?」
第七華条区教会に"羽金湊"がいることがわかったが、疑問が残る。
「教会って…目立つよね…?」
「ああ。《輝閃》は神を信じる奴が何故か多いから教会に居ればすぐに捕まっているはず。捕まってないって言うことは……」
「教会が隠しているのか…?いや……」
公園で難しい顔をして座っている子供を近所の人達が訝しげに見ていたことを二人は知らない。
***
二人は鈍感でバカなのである。
***
しばらくして、俺とミオが頭を上げると近所の子供達がかくれんぼして遊んでいた。
鬼側が二人、逃げる側が五人で、逃げる側の一人が公園の端の草むらに座り込むと、足から透けていった。
それを見てミオは声をあげた。
「そっか!"透明化"の能力がある!」
突然声をあげたミオに俺はびくっと体を震わせて怪訝そうに問う。
「……?"透明化"がどうしたんだ?」
「透明になれば教会でも隠れられるよ。人が来たときだけ透明になれば。テロ組織のリーダーだ、それぐらいのちからはあるだろう。現にレベル6だし」
ミオと俺は二人揃って手を叩いた。
(なるほど…でも……それだけか?)
俺は少し首を傾げていたが、ミオは気にしなかった。
「よし。行くよ。カエデ」
「俺に掴まってて」
ミオが俺の肩を持ったのを確認して魔法詠唱を始めた。
「"空間移動"」
瞬間、景色が歪み、瞬きすると教会の前に立っていた。
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