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夏月も黙って、
彼の後に従った。
二人を乗せた可愛い黄色のミニクーパーは、
ようやく活動し始めた銀座の街を抜け、
とことこと渋谷へ向かう。
その車内でも、
夏月は押し黙ってうつむいたまま、
ほとんど身動きもしなかった。
ギイも何も言わず、
夏月の方を見ようともしない。
重苦しい沈黙が、
夏月の胸を締め上げた。
やがてミニクーパーは、
渋谷センター街近くの雑居ビルの前に停車した。
ダンスクラブ『HUSH』が入っているビルだ。
自動車を停め、
エンジンを切っても、
ギイは降りろとも何とも言わなかった。
両手をステアリングにかけたまま、
ただじっと前を見つめている。
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