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CHAPTER 2 氷雨の街
翌日、
夏月が眼を覚ました時、
窓の外は冷たく細かい雨に濡れそぼっていた。
――あれ……。
ここ、
どこだっけ……。
夏月はあたりを見回し、
ぼんやりと考えた。
天井や部屋の様子に見覚えがない。
稲垣りつ子のマンションでもないし、
客に連れ込まれたホテルのようでもない。
ましてや、
夏月が生まれ育った家でも――。
頭がはっきりしてくるにつれ、
ようやく昨夜のことを思い出してきた。
そっと寝返りをうつと、
部屋の主人はまだ枕に顔を埋めて、
小さな寝息をたてていた。
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