1人が本棚に入れています
本棚に追加
「どれ。
ちょっと顔見せてごらん」
ギイは夏月の細い顎に指をかけ、
すっと上向かせた。
「あー、
やっぱりまだ少し腫れてるわねえ。
昨夜のうちに少し冷やしておけば良かったかしらね」
胸の奥で、
どきんと心臓が飛び跳ねた。
ギイに触れられた部分から、
じゅん、
と熱い何かが広がる。
やがて彼の指が離れても、
その感触はひどく火照るものとなって、
夏月の肌の上に残っていた。
「おなか空いた?」
「ん……。
うん、
ちょっと」
「じゃ、
ちょっと待ってて。
なんか作るわ」
ギイはキッチンに立つと、
慣れた手つきで朝食の準備を始めた。
最初のコメントを投稿しよう!