CHAPTER 2  氷雨の街

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 夏月は思わず、 しげしげとその手元を眺めてしまった。 男が包丁を持つところなど、 初めて見る。 ギイの手は思いの外器用に箸やフライパンを扱う。 綺麗な指が踊っているようだ。 「こらぁ。 ンなとこでぼけっとしてないで、 着替えてらっしゃいよ。 クローゼットの中の、 どれでも好きなの着ていいから」 「え、 うん……」  もう少しギイの指を見ていたいと、 思ったけれど。
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