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夏月は思わず、
しげしげとその手元を眺めてしまった。
男が包丁を持つところなど、
初めて見る。
ギイの手は思いの外器用に箸やフライパンを扱う。
綺麗な指が踊っているようだ。
「こらぁ。
ンなとこでぼけっとしてないで、
着替えてらっしゃいよ。
クローゼットの中の、
どれでも好きなの着ていいから」
「え、
うん……」
もう少しギイの指を見ていたいと、
思ったけれど。
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