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いろいろと試してみて、
結局夏月が選んだのは、
Vネックのセーターだった。
かぽっとかぶってウエストにベルトを巻けば、
ワンピースのように見えないこともない。
メイクもせず、
短くなった髪にはブラシをかけるだけ。
けれどそれだけで、
ごてごて塗りたくっていた時よりも、
自分の顔がずっと好きになれるような気がした。
やがてキッチンからいい匂いが漂ってくる。
トーストとコーヒー、
かりかりのベーコンにカップスープ。
「はい、
お待たせ」
二人、
向かい合ってテーブルにつく。
こうやって一緒に食事をしていると、
まるでずっと昔から二人でこんな朝を迎えていたような気がする。
本当はこんなこと、
もう二度とない筈なのに。
ギイと一緒に朝の時間を過ごすことが、
とても自然に思えてくるのだ。
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