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ギイはけして夏月を責めているわけでも、
偉そうに説教しようとしているわけでもない。
ただ静かに、
夏月が本当の気持ちを言うのを待っているだけだった。
――帰りたいところなんか、
どこにもない。
夏月は唇を噛んだ。
自分のしていることが何なのか、
夏月にだって判っている。
悪いこととか犯罪とか言う前に、
とてもきたないこと。
汚いことをしていると、
自分でもちゃんと判っているのだ。
でも男に身体を売らなければ、
『りぼん』のマンションにはいられない。
けして望んで得た居場所ではないけれど、
同じ年頃の少女達がうつろな瞳をしてたむろするあの部屋を追い出されたら、
夏月にはもう行く場所がない。
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