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朝六時二十分。
僕はゆっくりと起き上がる。
ピピピ……ピ……トン
「今日は入学式か……」
不安なような期待があるような誰しも経験はあるだろう気持ちだ。
僕は杵島 蒼輝(きしま そうき)
十六歳高校一年生男性。
「蒼輝ぃー!早く起きなさーい!入学式から遅刻しちゃうわよー」
「起きてるよ杏明ねぇー」
「ご飯作ったから早く食べなさいねー」
「分かってるよー」
僕は朝の支度をした後に食卓へと向かう。
「杏明ねぇおはよ」
「おはよう蒼輝」
「あれ、杏明ねぇもう行くの?」
「生徒会長は大変なのよ。行ってきまーす」
「いってらっしゃーい」
今家を出た俺が行く高校の生徒会長こと杵島 杏明(きしま あみ)
僕のお姉ちゃんだ。
と言っても実は義理で母さんの妹の娘なんだけど。
「おっと俺も早くご飯食べて学校行かなきゃ」
トーストに目玉焼きにココア。
いつもの食卓だ。
食べ終わった僕は時計を見て余裕を感じた後のんびりと家を出る。
桜が舞う道をのほほんとしながら歩いた。
学校への道のりは歩いて駅まで行き、そこから電車で学校のある駅まで行く。
そこからは徒歩十分程で学校に着ける。
もう少しで駅が見えるなーと思っていると……
いつもの普通の一日がまた今日も続くと思ってた。
「いやっ!ちょ!や、やめて!やめてくださ……い!!」
「いーじゃんちょっとくらいさぁー?ね?」
「いやっ……です!!」
「ちっ往生際がわるいなぁ……!!」
「いやっ!」
そこには三人のガラの悪い高校生と見られる男。
そしてその三人に今まさに細い路地裏に連れて行かれそうになっている女の子……
めんどうな事には突っ込みたくないけど……
ここで見捨てて学校行くなんてできないし。
そして細い路地に入ったところで……
「あのー……すみません?」
「あ?!なんだテメェ!」
ものすごい威嚇っぷりだ。
それも大きな声で。
「いやーその子知り合いなんですよー手を引いて頂けません?」
「ク……ハッハッハハ!何?ヒーロー気取りですかぁ?」
さすがにイラっとくるなぁ……
「いえいえそういう分けでは」
「まぁ確かにお前みたいな貧弱そうな奴がヒーローとかありえねぇもんな!」
相手が弱いと思って油断してる感じかな?
安心しているように見える。
確かに僕はヒーローなんかじゃないさ。
普通の高校生だ。
「じゃあお前も一緒にどうよ?可愛いだろ?」
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