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洞窟へと足を進め、幾分もいや数10歩も進んだ程度でソイツは現れた。
威圧的にも睨み付けてくる洞窟内を覆うソイツは、揺らめくジッポの火に晒され怪しくも見つめてくる。
――この扉をどうやって開けたらいいのか。
数秒考えた俺に対して、その扉がまるで話し掛けるかのように。
日本語でも、くさび文字でもないその言語で彫られた文字が浮き上がる。
いや、浮き上がるように俺には理解出来た。
蒼き力、汝が真に示せばその道は汝を照す。
そう読めた。ちょ、俺どうしたよ。
軽くテンパった。考える事を放棄したのに数分、どうやらこの文字が俺には読めるらしいと結論づけ。
蒼き力がなんなのかわからない俺は既にあきらめ、地べたへと腰を降ろし残り少ない煙草に火を入れる。
だらしなく、その両腕すら放棄しひんやりとした地面にハゲ頭を預け寝転んだ。
何をさせたいのか神は。
理解及ばぬ俺の脳内は、諦めよりも楽しさが込み上げてきた。
何もわからないということが、こんなにも楽しかったモノだとは。
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