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噂じゃ以前軽音部員が織部先生を怒らせてしまい、次の日には部室が骨格標本で埋め尽くされていた、とか。
そんなん嘘やろ。
織部先生がお気に入りの骨格標本を部室に置いたりせぇへん。
噂に尾ひれ所か胸びれや腹びれまで付いてしまっているらしい。
でもその噂の所為で軽音部員はあだ名の『おりべーちゃん』じゃなく『織部先生』とちゃんと呼んでいる。
「部室の鍵だろ? ちょっと待ってろ」
顧問の織部先生の代わりにマツキヨが職員室の奥に鍵を取りに行ってくれる。
それをぼーっと突っ立って待っていると、背後から何やら背中にぶつかって来て。
「あ、ごめんなさい」
振り返ると色白で幸薄そうな男性教師が、プリントを両手いっぱいに抱えたままペコリとお辞儀をしていた。
「いや、かまへんよ」
「本当にごめんなさい」
もう一度お辞儀をしてから、その教師が自分の席であろう机の上にプリントを置く。
「城ヶ崎先生、このスポーツテストの資料はどこに置くんですか?」
その教師の後からファイルを抱えながら職員室に入って来たのは、あのアホのナルだった。
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