第5章

5/17
865人が本棚に入れています
本棚に追加
/212ページ
何でコイツがここに居んねん! 「成瀬君、こっちに運んでくれますか?」 「はい……あれ、竜也先輩?」 ナルに気付かれた瞬間、俺は弾かれるように職員室を飛び出していた。 「辻元!? 鍵は!?」 マツキヨの声を無視し、鍵も持たずに。 昨日は仕方なく気まずいながらもナルと一緒に帰った。 そこまでは平気やったんや。 でも、今朝のあの夢を見た後でナルの顔が見られない。 嫌やもう、死にたいくらい恥ずいー! 職員室を出てからどこをどう走ったのか解らない。 ただナルの「待ってください」という声を振り切るのが精一杯で。 結局校内を一周して自分の教室に戻り、昼休みが終わる10分前に急いで弁当を食べ始めた俺に荒川の「何してんだ、お前は」という呆れた視線が突き刺さった。 ホンマ、何してんねやろ、俺。 今逃げても部活の時間には顔を合わせなあかんのに。 あー、嫌や。 .
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!