865人が本棚に入れています
本棚に追加
/212ページ
何でコイツがここに居んねん!
「成瀬君、こっちに運んでくれますか?」
「はい……あれ、竜也先輩?」
ナルに気付かれた瞬間、俺は弾かれるように職員室を飛び出していた。
「辻元!? 鍵は!?」
マツキヨの声を無視し、鍵も持たずに。
昨日は仕方なく気まずいながらもナルと一緒に帰った。
そこまでは平気やったんや。
でも、今朝のあの夢を見た後でナルの顔が見られない。
嫌やもう、死にたいくらい恥ずいー!
職員室を出てからどこをどう走ったのか解らない。
ただナルの「待ってください」という声を振り切るのが精一杯で。
結局校内を一周して自分の教室に戻り、昼休みが終わる10分前に急いで弁当を食べ始めた俺に荒川の「何してんだ、お前は」という呆れた視線が突き刺さった。
ホンマ、何してんねやろ、俺。
今逃げても部活の時間には顔を合わせなあかんのに。
あー、嫌や。
.
最初のコメントを投稿しよう!