第5章

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どうしても部活に行くのが、ナルと顔を合わせるのが嫌で、俺は響に『今日の部活休む』とだけメールした。 部活の時間は学校生活の中で一番好きやったんやけどな。 一日くらいならサボってもえぇやろ。 「さて、どうするかなー」 教室内を見回すと、部活のあるヤツはさっさと教室を後にしている。 校内に残ってたらサボりがすぐバレるし、このまま寮に真っ直ぐ帰るのもつまらない。 ふと目についたのは部活や委員会に行く芥川太宰コンビと別れ、帰り支度をしている夏目の姿。 そういやアイツ部活やってへんかったな。 どうせ暇やろ。 「おい、そこの兄ちゃん。茶ぁしばきに行かへん?」 「は? 茶をしばく? 叩くのか?」 声を掛けられた夏目が怪訝そうに振り向く。 「しばいてどうすんねん。どっか遊びに行かへんかって意味や」 「竜也、部活は?」 「今日は休みや」 テスト前の部活休止期間だってカラオケ店で練習するくらい音楽バカなのは、メロンパンバカの夏目だって知っている。 だからこそ「珍しいー」と目を丸くしていた。 .
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