第5章

11/17

865人が本棚に入れています
本棚に追加
/212ページ
うん、美味い。 メープルシロップというからもっと甘ったるいのかと思っていたけど、仄かにメープルシロップの風味があるだけ。 ホイップクリーム入りも食べてみたが、ちゃんと甘さのバランスを考えられていて美味い。 「夏目君、どうかしら?」 「美味しいです! オレとしてはもうちょっとクリームに甘味があってもいいかな? それにこっちは……」 夏目の感想を聞きながらみゆきさんが「うんうん」とメモをとっている。 夏目、お前メロンパン評論家でも目指しとんのか? 伊達に『メロンパン夏目』を名乗ってるんやないんやな。 「お友達は? どれが美味しかった?」 矛先が俺に向かい、感想も何も考えていなかった俺は咄嗟に「これ」とクリーム入りの方のメロンパンを指差す。 「ふむふむ、やっぱりクリーム入りなのね。参考になったわ、ありがとう」 嬉しそうにメモをエプロンのポケットにしまい、みゆきさんは「ゆっくりしていってね」と再び厨房に入って行った。 「何や、スゴいな」 「ふぇ? らにが?」 残った試作メロンパンを口に含んだまま、夏目が不思議そうに首を傾げる。 .
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

865人が本棚に入れています
本棚に追加