第5章

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キッチンで洗い物の手を動かしながら、佐野さんが「お前、飯は?」と尋ねて来る。 「今日のメニュー何ですか?」 「鶏肉とキャベツのクリーム煮」 ここにきてまたクリームかい。 「あー、俺、飯要らないです。食欲無いし」 「具合でも悪いのか」 「そんなんやないですよ。すんません、もう風呂入って寝ときます」 佐野さんにヒラヒラと片手を振って、自室のある寮の二階に向かう。 「ただいま」と挨拶をしながら部屋のドアを開けると、同室の荒川が机に向かったまま顔も上げずに「おかえり」と返してくれた。 「お前、遅くなるなら佐野さんに連絡しとけよ」 「あー、悪い」 まだ胃がムカムカする感じがして、制服のままベッドに倒れ込む。 別に生クリームは嫌いやないんやけどなー。 でも量には限度ってもんがある。 何で夏目は平気なんや? .
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