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「何だ、具合でも悪いのか?」
「お前でも他人の心配をするような心があったんやな」
「何の嫌味だ、それは」
椅子に座ったまま身体をこちらに向けていた荒川が、呆れたように溜め息を吐きながら指でメガネを押し上げた。
そうや、コイツも部活やっとるんやし、話を聞くくらいならえぇか。
「なぁ、荒川の所にも新入部員入ったやろ?」
ベッドの上に俯せになり、肘を立てて腹這いになる。
「それがどうした」
「後輩にセクハラされたらどうする?」
その瞬間、荒川のメガネの奥の瞳がギラリと光ったのが遠目からでも解った。
何や? 何かマズイ事言うたか?
「……お前は知ってるのか?」
「は? 何が。ちゅーか例え話やからな!?」
変に自分の事を詮索されても困ると慌てて付け足すと、荒川が顎に手を当てて何やら考え込んでいる。
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