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「そうだな、一本背負いで地中深くまで叩きつけるか、巴投げで宇宙まで吹っ飛ばすか、だな」
「お前やったらホンマにやりそうやな」
「当然だ。あの妄想中毒の変態め……次は必ず仕留める」
誰に向けての言葉かは解らないが、ニヤリと何かを企むように笑う荒川に、無関係の俺まで背筋に悪寒が走った。
力ではコイツに敵わへんからな、俺。
ケンカになっても荒川が手加減しとんのが解るし。
そうか、身体を鍛えるのも有りやな。
いやいや、俺そこらの一般人よりはケンカ出来る方やで?
何でナル相手には抵抗出来ひんねん。
やっぱ問題は、ナルのあの魔性の声やな。
「ありがとな、荒川。参考にはならんかったけど」
「参考にするつもりだったのか?」
「いや、それは……言葉のアヤや!」
荒川の視線から逃れるように枕に顔を埋めるが、ジリジリと後頭部に視線が突き刺さる気配がする。
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