第1章

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 うぅ・・・、ここは、どこだろう・・・。覚えている事は、自分の持っているポケモンが瀕死のドンメルって事だけだ。分かる事は、自分の体が言う事を聞かないという事と、寒い、という事だけだ。 あぁ、ダメだ・・・もう、死ぬのかな・・・? 意識を失う直前、年老いた老人や少し癖毛の女の人、ドンメルと僕が山を歩いている姿が見えた。何も思い出せないけど、多分、これが走馬灯ってやつなんだろうな・・・。 僕は、ここで・・・。 「カガリ様!こんな所で子供が倒れていますっ!」 「子供・・・?」 その子供を見た途端、カガリは何とも言えぬような、今までに見せたことのない表情を浮かべた。 「カガリ様、どうしますか・・・?」 「・・・・・・」 「放っておく訳にはいきませんよ!連れて行きましょう!」 「・・・わか・・・った」 どこか、連れて行くのを躊躇っているような、そうでないような・・・この時の彼等はカガリの異変には全く気が付いてはいなかった。 ―マグマ団アジト― 「うっ・・・」 「ウヒョヒョ、やっとお目覚めか」 「・・・ここは?」 目を覚ました僕が見たのは赤い服を纏った二人の男女の姿だった。 「ここはマグマ団のアジトだ。お前はえんとつ山でぶっ倒れてたのさ。俺達はお前の命の恩人だ」 「ちょっと、恩着せがましいよ・・・」 カガリの言葉を無視してホムラは続けた。 「ウヒョヒョ、お前、名前はなんて言うんだ?」 少年はしばらく悩んで、それから下を向いたままになった。 「アンタ、記憶喪失なのかい・・・?」 カガリが問いを発すると少年は少しだけ頷いた。 「ウヒョヒョ!なら俺達が面倒をみてやるよ!ただし、お前は俺たちの仲間になるんだ。いいな!?」 「ホムラ!」 「ウヒョ?どうしたんだお前。なんか変だぞ!?まさか一目惚れでもしたんじゃねぇだろうな・・・」 「違うよ・・・」 「ウヒョヒョ、まぁいいや。コイツが記憶を取り戻すまでの間、コイツの面倒は・・・お前が見ろ、カガリ」 「・・・わかったよ」 「ところで、あんた名前思い出せないんだったね」 「は、はい・・・」 「じ、じゃぁ・・・フェンって、どうだい?」 「ウヒョ?フェン?なんじゃそりゃ」 「あんたは黙ってなさいよ」 カガリは「どうだい?」と言い、少年はその名前を受け入れた。
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