11章 真紅の鼓動

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五人のライダーが敵陣で戦闘を開始した頃 ボロウもまた戦禍の最中で、眼前へと距離を縮めて来るフリーズロイミュードへとガンナーを連射し迎撃していた。 『侮られたものですね、その程度の火力で超進化した私を止められるものか……!』 銃撃を一身に受け尚歩みを止めないフリーズは咄嗟に後退せんとしたボロウの胸ぐらを引き寄せ反対の掌でマスクを掴むと徐々に冷気を纏わせ…… 「く…あ…侮ってんのは、お互い様よっ!!」 『バスターレッグ』『ガトリングレッグ』 ボロウが氷結される前にドライバーの側部レバーを回転させると二つのウェポンが排出されフリーズの身体を弾いた後に両足へと装着された。 左足から高速で射出されるガトリングの嵐で牽制し行動範囲を狭め 右足の武具に蓄積されたエネルギーが解き放たれフリーズの胸を直撃する。 「──っ、まだまだぁ!!」 直撃を正面から耐えているフリーズに小さく舌打ちしながら、右足の踏ん張りを効かせエネルギー砲の出力を引き上げ 同時に防御への集中力を僅かでも削がんとマシンガンも引き続きフル稼働でフリーズの足元へと放ち続ける。 『くく、フハハ!!二人がかりで手こずった私に一人で勝てると本気で思ってるのなら、 それはなんと滑稽な、そして私への侮辱に他ならないっ!!』 「!……こ、の……ぐっ……がっ!!!!」 フリーズの高笑いと共に直撃状態のエネルギー砲を冷気の放出で正面から押し返し、あまつさえそのままボロウを呑み込もうと── ──! 冷気が迫るより早く、ボロウのバスターレッグがエネルギーの過剰放出に耐えきれず火花を散らし爆散 不幸中の幸い……なのか、その小規模な爆発によって倒れ込んだボロウは間一髪冷気のエネルギーを避ける。 『ふむ、このままではエンジェルの羽まで凍らせてしまうな……フリーズ、場所を移せ』 傍観していたゴルドドライブがボロウの背後に着地すると思い切り拳をその背に叩き込み吹き飛ばす。 指示に従ったフリーズは続くように彼女を捕縛すると自動ドアを正面から突き破り外へと場所を移動した。 『エンジェル、戻るまでにその裏切者(プロトゼロ)を始末しておけ』 『お任せ下さい、蛮野様。彼には私が今度こそ救済を……!』 忠実な僕の返事等聞きもせずにゴルドドライブはフリーズらの後を追っていった。 「チェイスさん、私は紗羽子さんを追いますので……負けないで下さい」 「待て、スイレン。 ならば、これをお前に渡しておく」 スイレンへと迫るエンジェルロイミュードの羽を高速で駆ける漆黒の戦士が全て弾き落とし、背後の彼女に何かを託す。 「これは、シフト……ハートロンですか?」 「詳しくは知らん。だが、ハートがお前達の切り札になればと修めた力だ、持っていけ」 受け取ったシフトカーは確かに目の前の漆黒の戦士用にチューンナップされていないだろう ……だけど、そもそもボロウとは技術体系自体が…… 「行け、スイレン。俺もエンジェルを倒して後を追う」 「……わかりました」 結論が出ぬままだが、スイレンは漆黒の戦士に背を向けボロウらの元へと走り出した。
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