11章 真紅の鼓動

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漆黒のドライブは空間を自由に舞う無数の輪型のエネルギーをかわしながらも、攻勢に転じるどころか近づく事さえ出来ずにいた 『ふふ、チェイス……諦めて蛮野様の救済を受け入れなさい』 「救済だと……?」 目の前のエンジェルロイミュードに見覚えがあるような、ないような不明瞭な記憶を一先ず回路の片隅にしまい、相手の言葉を復唱する 『そう、001が余計な記憶を凍結させ私が幸福を与え、蛮野様が管理する…… ……明日生きれるかも分からないこの地獄のような世界で、それを救済と呼ばずしてなんと呼ぶのかしら?』 「っ……お前達が遺棄した人間が救済されただと?」 狙われた足元を身を翻してかわした所で、チェイスの腹部に打ち込まれる打撃、よろめいた所に放たれる輪っかを掠めながらかわしていく 『でも皆穏やかに死んだ。この世界で苦しみながら死んでいくよりも……それは、とても幸せな事よ』 「…………」 チェイス自身この世界に来てから救えなかった人間は当然いる。彼女の言い分は、この世界の明日が先の見えない闇だと言う一点は間違いのない事実だ…… 『秩序を守る死神……人類の守護者仮面ライダーそれが貴方 チェイス、今この街の秩序を担ってるのは蛮野様であり、人類の救済とは自分で思考せず管理される事よ……私と蛮野様に協力しなさい』 かつて泊進之介が破壊したドライブドライバー、そこにロイミュード004のデータをコピーして造り上げたこの漆黒のドライブの出力では超進化態には劣る 力で劣り、人類を今すぐ救う術も自身は持ち合わせていない 「言いたい事はそれだけか?」 『何ですって……?』 だが 「確かに地獄のような世界だ ──だからこそ、必死に生きてる人間が光って見える その輝きを守るのが俺の使命だ」 目の前に相対する光を踏みにじる虚光の天使に臆せず一歩踏み出したチェイスは腰を深く落とし駆け出す為の構えをとった。 『死んで尚愚かねチェイス……だったらもう一度、今度こそ私の手で救済してあげるっ!!』 「004……限界まで飛ばす」 『チェイス……!OK、フルスロットルで行こう!』 大量のフェザーサーキット、輪っかの射出が放たれると同時、漆黒の戦士は地を思い切り蹴って駆け出した。
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