2章 英雄達の負の遺産②

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「な、何ーー!?」 驚愕するジャッジとは対照的にジェダスは、こうなる結果がわかってたかのように冷静に相手を蹴り飛ばす 『理解できないか?先程の剣は借り物だ…… 真の担い手でない俺では自分の力を乗せて振り抜くのみ 真の意味で使いこなす事など出来はせんだろうよ だが、その不完全な剣でも相殺出来た貴様の剣も同様にーー不完全と言うことだ』 ジェダスの掌の中で刀身を失った持ち手の部分も後を追うように消えて行った 淡々と語るジェダスの言葉にジャッジの怒りか沸き上がるのは言うまでもない 「不完全だとっ!?何をもって我が剣を愚弄するのだ若造ぉっ!!」 『言っただろう?貴様の剣は人の弛まぬ鍛練が磨きあげ、極めれば我が命にも届くと だがーー貴様の歪んだ正義では、その剣技を歪ませ空虚なものにすることはできても、けして極める事は出来はしない』 ジェダスは冷酷に現実を突きつけると触手によって構成された翼を展開し空を舞う 『さあ、終幕だーーせいぜい絶頂シロっ!!』 空中からジェダスの片足が断罪の矢の如く打ち落とされる 最早身を守る剣もなく、逃げる時間もない 『――GyyyyyeeAAhhhh!!!!』 雄叫びと共にジェダスの脚がジャッジを蹴り飛ばしそのままジェダスは爆発に包まれた 「ふう、お疲れ様でした。戦闘終了ですね」 ロイミュードの破壊を確認するとスイレンは頭を押さえて座り込んだ 「だ、大丈夫ですか?」 「ええ、少し休めば大丈夫です」 しゃがんで顔を覗き込む円香に笑ってみせるスイレン。どうやら重加速を止めるのにはそれなりに力を費やすようだ 「頼もしいね、円香ちゃんの相棒は」 「ええ、『彼ら』の系譜の再現ーー実に見事でしたよ」 黒煙の中から戻って来るジェダスを見ながら天城とスイレンはそれぞれに感想をもらす。 「なっ、九頭竜さんーーよければ、あんたも絵のモデルになってくんないか?」 『……何をいってるか理解できん』 戻ってきたジェダスに歩み寄る天城はにこりと笑いながら話しかけるが…… 九頭竜は真顔で冷たい目を向けるのみだった
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