3章 この世界の人々

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章、海翔、そして勇誠の3人は出会った少年達に自転車で20分程離れた所にある彼等の住みかにやって来ていた。 (なるほど……大き目の都市から少し離れた場所だから見逃されたのか) 勇誠の独白にもあるように、訪れた町には崩壊した様子もない農村だった。近くに海もあるーーこれならば食料にも困らないだろう 「おい、お前ら何しにきた?」 不意に背後から話しかけられ、三人が振り向くと若い青年が警戒した視線を此方に向けていた 「ち、違うよ初瀬ちゃん!この人達怪人をやっつけてたんだよ」 「そうそう、変身したの、初瀬ちゃんみたいにっ!!」 と、間に入った子供の説明で青年……初瀬は警戒を解く。 「そうか、悪かったな」 と言いながら溜め息をついて子供達の方に歩み寄ってきた初瀬は…… 「いでっ」「あたっ」「いったっ」 子供達に順番にデコピンした 「ったく、お前らあれほど村の外には行くなって言われてたろう?ほらさっさと帰れ帰れ」 青年はしっしと子供達を遠ざける素振りを見せたと思ったら、そのまま背を向けて、大きな旅館のような建物の方に歩いて行ってしまった。 「な、なあ……あれって初瀬か?初瀬亮二か?」 「そーだよ?初瀬ちゃん強いんだよ、何度か村に来た化け物退治してくれたんだよっ!」 輝が子供の一人に小声で話しかける。何故その目が少しキラキラしてるのかと海翔は疑問に思ったが、子供は特に気にすることもなく腰に手を当てて自慢するように話す (なるほどな、怪人だけが蘇るような都合の良い話じゃないって訳だ) 何となく結論に至った輝。一向は子供の青年の自慢を聞きながら、そのまま彼の自宅へ歩いていくのだった。 「おいおい、初瀬 亮二までいるとは。こいつはとんだ偶然だぜぇ」 一向を影から見ている男、正確には先程のグロンギ戦から尾行してきた男は被っている帽子をそっと触るような仕草をしたのちにニヤリと不気味な笑みを浮かべて「S」のような記号の書かれた錠前を握った
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