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屑ヤミーの手が彼女に触れようとした次の瞬間、七つの星が光輝き、それらが3つの方向に流星のように散っていく。
そのうちの二つの星は、スイレンのいる方向へと突っ込んで来た。接近してきた者は隕石等と言う大層な物ではなく、札……もしくはカードと呼ぶに相応しい紙のような物だった。
「あっ!!」
スイレンが驚愕するのと同時に二枚のカードはスイレンを囲んでいた屑ヤミーを貫いて行き、消滅させた後に彼女の前に空中で静止する。
「次元も、理も超えて……祈りが、届いたんですね……。」
スイレンの表情に若干の安堵が見え隠れする。なんとか窮地を脱して、待ちわびていた出会いが始まろうとしている。
スイレンの前に止まったカードは光を放って異次元への壁を生み出し、横にスライドすると、いつの間にかスライドした場所にはそれぞれ男が立っていた。
いや、片方のカードからは男が召喚され、もう片方からは男と女がペアで召喚された。
「あ、あれ……ここ、どこだろう?」
「……、我らを呼び寄せた者は貴様か?」
ペアの方で大学生位の女性が不思議そうに周囲を見渡していると、ペアの男の方がじっとスイレンを鋭い目で見据え問いかける
スイレンは無言で頷いた後に、眼を瞑り片膝を地に付ける。
彼女の行動に戸惑う男達だったが、突如自分達をこの世界に招いたカードが光輝き、カードの上には小さなスイレンの立体映像が浮かび上がった。
同様の現象が七枚のカードに起こっており、立体映像越しに彼女は語り出す
『私の名前は……スイレン、あなた方をこの世界に招いた者です。
この世界は、既にその輝きを失った……混沌の世界です。そして、全ての、あなた方の暮らす世界にも混沌が忍び寄ろうとしています……
一方的に呼び出して申し訳ない事、その上、これから無償で仕事を頼もうとしてる事はとても図々しいと理解しています
私はこの世界と、あなた方の暮らす世界を含めた全ての世界を……救いたい
その為に力を貸してください。あなた方7人が、この混沌とした世界で困難に立ち向かうことでそのカードに自身の輝きを映し、私の元に集った時……私は必ず、世界を救います。
だからお願いです、私を信じてください』
そこまで話を続けた所で立体映像は消え、カードは持ち主の掌に落ちた。
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