1章 降り立つ戦士達

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一方、日本のどこかの海岸では 「あー。そう言えば日本で最近そう言う特撮がやってたわ」 「そうそう、多分それと同じ奴だと思う」 茶髪の女性が握ったカードをピラピラと振りながら頷く。それを見ると、話が早くて助かる相手に安堵したのは銀髪の女性。彼女は改めて茶髪の女性を頭から爪先まで見下ろす。 「じゃあ、つまり君も……」 「内藤 銀です、上でも下でも好きに呼んで下さい」 銀髪の女性……銀は爽やかな笑顔を作り自己紹介をすると握手の為に手を差し出す。 その機嫌はとても良い……それは女性の胸が自分の好み……いや、とても健康に育っていると確認できたからだ、そう健康的な大きさだったからだ、やましい気持ち等……殆ど無い。 「ふーん、李堂 沙羽子よ。よろしくね?」 沙羽子は銀の様子を少し眺めクスッと笑った後に、同じく自己紹介して彼の手を取る。 「で、銀ちゃんは出きるの?所謂、変身……」 「ま、まあ……軽く二段変身は」 銀の言う二段変身、この意味は後々直ぐに明かされる事になるのだが、少なくとも初段の変身の意味は沙羽子の予想を超えたベクトルのものであったりもする 「へぇー。じゃあ少し私と闘(や)る?」 「闘(や)る!?いや、そんないきなりそれは……」 「えー?準備体操がてら良いと思ったんだけどなぁ」 ちぇー、っと唇を尖らせて髪を弄る沙羽子。 互いの実力を計るのも兼ねての提案だろうが、そんな面倒な事を考えるよりは都合のいい意味に脳内変換しよう。いや、変換も何もハナからそう言う意味だ、間違いない。 「じゃあ……んーーっ」 「はーーーぅむっ!?」 そんな銀の考えを知ってか知らずか、沙羽子は突きだした唇を、そのまま銀の唇にあてがった。 (この時、世界が真っ白になった……いや、真っ白になったのは俺の頭の方だったんだって、この時の俺には気づく事も……出来なかったんだ) 銀は、後にこの時の事をこのように独白したが、どうでもいい話かもしれない。 ただ、沙羽子はキス魔。その事実に女の姿をした『男』の銀はある種の期待、そしてある種の(理性的)心配を感じずにはいられなかった。
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