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サボりに適切な場所を探す2人組。
童顔の女は綾辻凪。童顔の男は宗像統護。
2人とも童顔なので、はたから見れば社会人には見えないだろう。
仲の良い男女2人が街中を歩いている、としか見えないだろう。
―――――――制服を着ていなければ。
腐っても警察官。ということで、職業柄制服の着用は義務付けられている。
「いやぁ、警察が暇ってことァ、この町は平和ってことだな」
ぶらぶらと街中を流浪する2人の視界の片隅で、1人の少女が柄の悪い男たちに絡まれている。
が、綾辻は飄々とそんなことを抜かす。
「いくらなんでも見てみぬふりは首が飛ぶってもんだぜ。」
「忠告すんならテメェが行け」
「俺ァ人見知り激しいんで。人前に出ることはなるべく避ける主義なんで」
「ふざけんな。初対面でいきなり暴言吐いたことしっかり覚えてんぞ。」
綾辻は懐かしき最悪の出会いを思い出しながら、同僚の胸ぐらを掴む。
「よく見りゃ絡まれてる女、結構な上玉みてぇだ。」
「うっしゃ。行ってきやす!!!!」
胸ぐらを掴んでいた手を離し、ビシッ!と敬礼を決めて、綾辻は現場へと走っていく。
「ケッ、」
宗像は走っていく同僚の後姿を鼻で笑う。
(単純馬鹿ってのは扱いやすいことこの上ねェ)
この隙に、宗像は己のサボりスポットへと足を向ける。
元から行く当てであった最高のサボりスポット。いい場所故に、あの女には教えてやりたくなかった。
あの女が隣からいなくなった今、行かないでどうする。
ということで、宗像は一瞬たりとも迷わず、踵を返してきた道を戻っていく。
・
ドカン!とナンパ男1人が壁に埋まる。どうやら蹴飛ばされたらしい。
「へい、ねーちゃん。こんないけすかねぇ男じゃなくてあたしとイイコトしようぜ。」
絡まれていた被害者も、絡んでいた加害者も。全員目を似たように丸くして、乱入者を穴が開くほど凝視。
格好を見ている限り、警察らしい。
(え。今の発言、警察の発言!?)
と思うのも無理はない。
若干1名ほど、壁に埋まるほどの力で蹴り飛ばされているが、それも警察の仕業である。
「……あんた、ほんとにけーさつか?」
ナンパ集団の1人が、恐る恐る綾辻に尋ねる。
待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑い、警察手帳を相手に見せびらかす。
「目の穴かっぽじってよく見やがれ!!」
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