66人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
「わ!双子って見るの初めてで!テレビでならあるけど本物は、」
「どこの田舎モンだよ、どーでもいいけど早く起きろ。邪魔」
ハルの弟は、本当にどうでもいいって顔で野良猫を追い払うようにいい放った。顔はハルそのものなのに、あまりのギャップで呆然自失。
しばしぼうっとしてると、睨まれた気がして急いで布団から出てそれをたたむ。
弟って瓜二つなのに性格は全然似てねー!
本当っムカつく!顔がハルじゃなきゃ殴ってやりたいわ。
布団をたたみつつ、弟をチラ見すとソファで寛いでいた。細く長い脚を組み、それを見せつけるように。
身長も体格も同じだけど、やっぱりハルじゃないね。うん。ああいう座り方はハルっぽくないもんな。
弟は、不思議なことに、微動だにせず何もない空中を見つめている。まるでそこに何かがあるように。
「コーヒー」
ちょうど布団をしまった途端に、前方をむいたままで弟が言った。
頭に目でもついてんのかと思う。
しかもあまりに突然、それでいて当然のように要求され固る。
「コ、コーヒー??」
反芻すると、ここでゆっくり私を睨んだ。
「淹れろって言ってンの」
迫力に負けて慌ててキッチンに向かう。
なんだコイツ本格的にムカつく!!態度でかっ!!これがハルの弟!?ホントに同じ血が流れてるの!?
てかハルはどこ行っちゃったの!?
まだズキズキする頭を擦ってると、弟の白眼視が厳しさを増した。
ここは対面式キッチンだから、ソファとちょうど向かい合うんだ。
「たま。いまオレの悪口言ったろ」
「言ってないし!てか何で私の名前…」
「朝アイツに全部きいた。野良ネコ拾ったって」
「あのォ、ハルはどこに?」
「さあね。寂しい?」
意味深にニヤッと笑う顔がまたむかつく。
「それでお前、…ペットなんだろ?」
無駄のない動作でソファから立ち上がると、傍ににじり寄ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!