チョコっとLOVE

2/10
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「はい?」  身長148cm、ミニマムな篠田夏帆(しのだ・かほ)が明らかに表情を強張らせている。しかし、あれだ。構うものか。 「だから、何度も言わせるな」 「ですが、栗生(くりゅう)君……」  小動物みたいな潤んだ瞳で見ても無駄だ。 「長年の夢なんだ」 「……マジ、デスカ?」 「何故、カタコト?」 「何故って? 何故って聞きたいのはこっちですが?」  ◆◆◆  土曜日の午後、学校帰りに立ち寄ったカフェは沢山の客で溢れ返っていた。注文したスペシャルいちごパフェに御満悦な篠田を眺めながら、俺はカフェラテを口に運ぶ。 「今日、親いないんだ」  幸せそうに最初の一口をした瞬間の篠田に告げる。 「そそそ……そうなの?」  単純な篠田の事だ。心の中では、きっとこう思っているに違いない。 『完璧に誘われてますよね? 勘違いじゃないですよね? でも、でもですね! 心の準備というか、ぼぼぼ……ボデーのメンテナンスがですね!』 「飯、作るから来ないか? 帰りは送るから」  抗いがたい俺様スマイル。完全に退路を断つ。 「う、うん」  そうすれば篠田は逆らえず、頷くしかない。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!