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「昨日の事だけど」
「......うん」
唇をキュッと噛む。
寒いだけじゃない。
何を言われても、笑って飛ばせるように今から心の準備をしておかなきゃ。
「お前が提案してくれた、あの偽の婚約者の話...」
「...う、うん」
一瞬、タッちゃんは目を逸らした。
何かまだ踏ん切りがつかないようにも思えたけれど、でも表面だけ見えているあの渦巻きの丸太の模様を見てから私を真っ直ぐな瞳で見ると、こう言ってくれた。
「那月さえよけりゃ、俺の結婚相手になってくれるか?」
「...............」
呆然とする私にタッちゃんはどこにも視線を逸らさず、ずっと見てる。
決意を込めた瞳は、私の心に大きな喜びを与えてくれた。
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