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「……そ、それでも…口にはやんねーぞ!口には!」
なぜかタッちゃんは乙女みたいに口を両手で塞いでいる。
その姿、正直…
「タッちゃん、キモい」
「キモいじゃねー!
お前も少しは節操を持て!
簡単に前みたいに口にすんな!」
ぷぅっと今度は最大限まで頬を膨らませる。
そんな姿を見て、タッちゃんはたちまち“兄”の顔になる。
宥めるように私の頭を撫でると、静かにおデコに唇を落とした。
「………これ以上は、絶対にしないからな」
頭をガリガリ掻きながら、恥ずかしそうに…それでも私の頭を引き寄せてギュッと抱き締めてくれた。
これがタッちゃんなりの精一杯の“婚約者ごっこ”なんだろう。
…今は、これだけで十分。
十分だ…
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