第3話

34/36
1577人が本棚に入れています
本棚に追加
/313ページ
「……そ、それでも…口にはやんねーぞ!口には!」 なぜかタッちゃんは乙女みたいに口を両手で塞いでいる。 その姿、正直… 「タッちゃん、キモい」 「キモいじゃねー! お前も少しは節操を持て! 簡単に前みたいに口にすんな!」 ぷぅっと今度は最大限まで頬を膨らませる。 そんな姿を見て、タッちゃんはたちまち“兄”の顔になる。 宥めるように私の頭を撫でると、静かにおデコに唇を落とした。 「………これ以上は、絶対にしないからな」 頭をガリガリ掻きながら、恥ずかしそうに…それでも私の頭を引き寄せてギュッと抱き締めてくれた。 これがタッちゃんなりの精一杯の“婚約者ごっこ”なんだろう。 …今は、これだけで十分。 十分だ…
/313ページ

最初のコメントを投稿しよう!