プロローグ

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「あっ、また失敗した」 「あはは!タッちゃん、折り鶴作るの下手すぎ!!」 「いーんだよ!男は折り鶴なんか作れなくて! もうこんな遊び飽きた! サッカーボール取ってくる!」 タッちゃんはそう言ってクシャクシャでヘニャヘニャな折り鶴を丸太の上に放置して、自分の家へと帰って行った。 「もう、しょうがないなぁ… 可哀想に… 私がちゃんと折ってあげるね」 私はその折り鶴を崩さない様に掴んで、くちばしだけ綺麗に折り目をつける。 そして自分の折り鶴とタッちゃんの折り鶴を丸太の上に並べた。 「本人には出来ないんだから… せめて真似っこだけ」 私は切なく目を伏せ、自分が作った折り鶴のくちばしとタッちゃんが作ったボロボロの折り鶴のくちばし同士を合わせ、一人、クスッと笑みをこぼした。
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