第3話

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「わっ...来た...」 ドクンドクンと低い音で心臓がゆっくり音をたてる。 でも、頬は否応なしに緩んでしまう。 タッちゃんが乗っている車が近づいてくる度に、緩む頬は抑えきれなくて私の目の前に停車した時には今日一番の笑顔で出迎えていた。 「待ったか?」 「ううん、大丈夫!」 「寒いだろ。乗れ」 助手席のドアを運転席から身を乗り出して開けてくれると、すぐさま私は乗り込んだ。 冷たくなった服がエアコンが効いている車内でゆっくりと温まっていく。 感覚がなくなっていた鼻先にも温度が戻ってきた。 「タッちゃんの車に乗るの久しぶりかも」 「だな。那月が免許取ってから初めてじゃねー?」 そういえばそうだ。 自分が免許を取ってからはどこでも自分の車で移動してるから。
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