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「絵梨香、ちょっと
先帰ってて!!」
「えーーーーー!?
どうしたの!?」
目を丸くしている絵梨香を置いて、
私は、慌ててライブハウスに
引き返した。
ライブハウスでは、
すでに清掃が始まって
いた。
黒と白のタイルを交互に
敷き詰めた床の上には、
プラスチックのカップや、
煙草の吸殻が散乱している。
皆、マナーが悪い。
「あ、あの~~、
斉藤くん」
「あぁ、彩夏ちゃん。
今日もおつかれ~。
どうしたの?」
斉藤くんは、ここの
ライブハウスのバイトで
、うちの学校の卒業生でもある。
私は常連だったので、
顔見知りだった。
斉藤くんとなら、
普通に話せるのになぁ。
って、ちょっと失礼か。
「あの~、落し物、
なかった・・・ですか?
」
「落し物・・・・
???」
斉藤くんは
手をアゴに置き、
少し頭を傾け、
斜め上空を見て
思い出そうとしてくれてる。
「彩夏ちゃんが
落としたっぽいものは、
なかったけど・・・・」
「・・・・・・・・・・
・・・・そ、
そう・・・・・・・・・
・・ですか・・・・」
じゃあ、どこに落とし
たんだろ・・・
別に、自分の名前
書いてないから、
いいっちゃいいんだけど。
せっかく書きためたのに
なあ・・・・・・
私はガックリ、肩を落とした。
「ちなみに、
何落としたの?」
私の落胆ぶりを見てか、
斉藤くんが
聞いてくれる。
「あ!・・・・
え・・・・・と、
英単語帳・・・・・・」
「そりゃ、勉強
出来なくなって
大変だね。
・・・・・え、
もしかして、青いやつ?
じゃないよね?」
「・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・え
・・・・・・・・・・
そう、ですけど・・」
私は一瞬、
ギクリとする。
「あれ、彩夏ちゃんの
だったの!?
表紙に、『天賀琉生』って
書いてあったから、
琉生くんに渡しちゃった
よ!!」
エーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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