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「まだ楽屋いるから、
返してもらってきなよ」
「や・・・・・・・・・
!!!!!!!!
や、いい・・・・デス」
「でも、大事なもの
なんでしょ?」
「そ、それは・・・・・
そう、ですけど・・・・
いい、です。また、
買えばいいから・・・」
そう言って私は
帰ろうとしたが、
斉藤くんは間違えて
渡した責任を感じたのか
、私の腕を掴んで
強引に楽屋に連れて
行ってくれる。
おせっかいとは
まさにこの事だ、と
私は思った。
コンコン。
斉藤くんが
ノックする。
私は咄嗟に斉藤くんの後ろに
隠れた。
めちゃくちゃ顔が熱い。
きっと、今私の顔は、
タコみたいに真っ赤になっているだろう。
「はい~~~??」
中から、声がする。
リ、玲我(リョウガ)先輩の声ダ・・・・・・・・
玲我先輩は、ベースで、天賀先輩の
次に人気がある。
金色の髪を、ツンツン立てて、
目だったり、鼻だったり、口
だったり、どこか一箇所を
いつも布で隠している。
今日は、顔全部隠れてる。
息出来るのかな。
そんな怪しい風貌の彼は
バンド一の、ムードメーカーらしい。
ガチャッ。
斉藤くんは、ついに
ドアを開けてしまった。
う、うう・・・・・・
・・・・・。
天賀先輩・・・・・・・
・・いる。
私が顔を一瞬
チラっと上げると、
彼はメイクを
とっていた。
天賀先輩は、顔の造りが薄いので、
すごくメイク映えする。
でも、すっぴんも、すごく
可愛い。
「おつかれ~。
今日も盛り上がってた
ねえ。
あのさ、この子が落し物
しちゃって。
さっき、琉生くんに
渡したヤツ。あれ、
彼女のなんだって。」
「え・・・・・・・・・
・・・そうなの?」
彼の、地を這う様な、
低い低い声が、する。
ギャーーーーーーーー
ーー!!!!!!!
私は床をひたすら凝視したまま、
顔を上げられない。
よく見ると、髪の毛いっぱい
落ちてる。
黒くて、先っぽだけ赤い。
これ天賀先輩のかな?
そんな事、今どうでも良い。
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