第1章   青い単語帳

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「まだ楽屋いるから、 返してもらってきなよ」 「や・・・・・・・・・ !!!!!!!! や、いい・・・・デス」 「でも、大事なもの なんでしょ?」 「そ、それは・・・・・ そう、ですけど・・・・ いい、です。また、 買えばいいから・・・」 そう言って私は 帰ろうとしたが、 斉藤くんは間違えて 渡した責任を感じたのか 、私の腕を掴んで 強引に楽屋に連れて 行ってくれる。 おせっかいとは まさにこの事だ、と 私は思った。 コンコン。 斉藤くんが ノックする。 私は咄嗟に斉藤くんの後ろに 隠れた。 めちゃくちゃ顔が熱い。 きっと、今私の顔は、 タコみたいに真っ赤になっているだろう。 「はい~~~??」 中から、声がする。 リ、玲我(リョウガ)先輩の声ダ・・・・・・・・ 玲我先輩は、ベースで、天賀先輩の 次に人気がある。 金色の髪を、ツンツン立てて、 目だったり、鼻だったり、口 だったり、どこか一箇所を いつも布で隠している。 今日は、顔全部隠れてる。 息出来るのかな。 そんな怪しい風貌の彼は バンド一の、ムードメーカーらしい。 ガチャッ。 斉藤くんは、ついに ドアを開けてしまった。 う、うう・・・・・・ ・・・・・。 天賀先輩・・・・・・・ ・・いる。 私が顔を一瞬 チラっと上げると、 彼はメイクを とっていた。 天賀先輩は、顔の造りが薄いので、 すごくメイク映えする。 でも、すっぴんも、すごく 可愛い。 「おつかれ~。 今日も盛り上がってた ねえ。 あのさ、この子が落し物 しちゃって。 さっき、琉生くんに 渡したヤツ。あれ、 彼女のなんだって。」 「え・・・・・・・・・ ・・・そうなの?」 彼の、地を這う様な、 低い低い声が、する。 ギャーーーーーーーー ーー!!!!!!! 私は床をひたすら凝視したまま、 顔を上げられない。 よく見ると、髪の毛いっぱい 落ちてる。 黒くて、先っぽだけ赤い。 これ天賀先輩のかな? そんな事、今どうでも良い。
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