第1章   青い単語帳

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先輩は一瞬間を置いて 答えた。 「いや?見てないよ。 ライブ後で、バタバタ してて・・・・・。」 私はホっと、心の中で 胸を撫で下ろす。 ・・・・・・・・・・ よ、よかったあ・・・ 「・・・じゃ、じゃあ・・・・・・・・ 私はこれで・・・。 どうも、失礼しました !!!!!」 私は90度に腰を折り曲げ お礼を言うと、 意気揚々、楽屋を出ようと 先輩に背を向けた。 「ちょっと、待って。」 天賀先輩に、呼び止められた。 「・・・・・・・・・ は、はい・・・・?」 私の心臓が、 ドクン、と飛び跳ねる。 「君、うちの学校の子 だよね?その制服。 いつも来てくれてるよね?」 「・・・・・・・・・・ あ!!は、はい・・・ そうです・・・・・・・ あの・・・・ファンで」 //////////////////// 「ありがとうね。  何年なの?」 「に、二年・・・・・・ ・・・デス」//////// 「そうなんだ。 家、どのへん??」 「あ・・・っ!あの、 2丁目の、 商店街抜けて左へ曲がったら、 スーパーがあるんですけど、 その近く・・・・・・」 ////////////////// 「ああ。スーパーって、 “やまげん”?」 「・・・そっ・・・、そうデス」 //////////////////// なんか、めっちゃ 会話してるーーーーーー ーーーーーーーーーーー !!!!!!!!!!! ////////////////////// “やまげん”とは、私が生まれる ずっと前からある、老舗のスーパーだ。 とっても安くて品揃えは豊富だけど、 ダンボールが積まれただけの、 店内は、なんだか雑多で汚い。 最近は、ビニール袋をタダで くれなくなった。 そんなやまげんを、先輩が知ってるなんて!! 私は心の中で、 大興奮していた。 いっぱい、単語帳に 書くこと増えた・・・ すると、天賀先輩は、 信じられないことを 口にした。 「よかったら・・・・・・ ・・一緒に帰る?」 「へ・・・・・・・・」 私は、我が目と耳を疑った。
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