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危険な香りがするが、アカリには“時給五千円”が頭の中で先行していてやる気になりかけていた。
すっかりお金に目が眩んでいた。
「昼食買ってきやしたぜ!」
「わっ、遅いな」
「びっくりさせんなし」
パンと飲み物を配り、4つの机をくっ付けて囲みようやく昼食にありつく。
パンを口に含みながら1人がさっきまでの話を伝える。
「あぁ、このクラスにやってる人いるよ」
「マジか!?」
全員が声を合わせる。そんな怪しいバイトをする奴は余程の物好きだと考える中、アカリは大金持ちなんだなと関心していた。
話によると昼休みには姿を消していて、何処にいるか分からないが教室に戻る際は弁当箱を持っているらしい。
「それってさ……」
「便所飯か」
「食事中なのにぃ」
4人が話に夢中になっていると予鈴が鳴り出し、慌ててパンを胃に放り込む。
放課後にアカリは害虫駆除のバイトをしているという女、五行センの前に急いで近づく。
「五行さん! バイトしてるんでしょ」
「あ、はい」
息を切らすアカリに呆気にとられて素直に答える。
「もしかして。興味ある?」
「一応、ね……小遣いじゃやってけなくて」
「そう」
センはどこか無機質な雰囲気で、静かに話す。
センはサイドテールの先をつまみながら目をキョロキョロと動かす。
「うち、バイト先に行ってみる? 案内する」
「いいの? じゃあ、行こうか……わわっ」
いきなり手首を掴まれるとそのまま引っ張られるようにして下駄箱まで走らされた。
靴を履き替えるとまた掴まれ、気がつけば今朝の屋敷の前まで来ていた。
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