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半ば連行されるようにして客間に案内された。
和風な屋敷とは裏腹に内装はソファーやシャンデリア、派手な柄をしたカーペット等があった。
「和室は今、人いるから」
「じゃ、俺はあいつらと話してくるから。あとは若いもん同士で、にひひ」
白髪の青年は子供のように笑いながらドアを閉める。
「あのジジイめ」
「あの、センさん?」
ドアを睨み付けていたセンは名前を呼ばれて我に帰る。
「あ、ごめん。うちのじい……父さんが迷惑かけて」
「いや、いいよいいよ。賑やかでいいね」
精一杯のフォローだった。
父の話が終わるまで待つようにと言われ、じっとソファーに座ったまま固まる。アカリは下手に動いて汚してしまうのが恐く人形のようになっていた。
センも黙ったままで、気まずい空気が充満する。
「偉い人が来る害虫駆除ってなんだろう」
「あ、それは……特殊なの、うちは。この城間市だけじゃなく世界を守るような」
「ほえー。そんな害虫やら害獣がいるんだ」
「まあ」
センは言葉を濁す。詳しいことはその時まで話さないほうがいいと思っていた。そのせいで再び静寂が訪れることとなる。
アカリも落ち着かないが、センも態度には示さないまでも緊張で雑巾が絞れないのではないかと思えてしまうほどに手汗が滲んでいた。
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