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こうやって見上げていると、10分に2つ位は流れ星が見える。
あまり会話もないまま、しばらくはただ空をみていた。
撮影開始してから30分を過ぎたあたりだった
「そげゆきさん、聞いてもいいですか?」
「ん?なに?」
「そげゆきさん、新歓コンパまでは来てたじゃないですか。
なんで来なくなったんですか?」
「ああ、それは、
みんなが思ってる通りだと思うよ。」
「仲村先輩ともめた件ですか?」
「まあ、そんなとこ。
おれも結構酔ってたけどあれで一気に酔いが覚めちゃってさ。なんか馬鹿馬鹿しくなって帰っちゃったからな。」
あのときはたしか、近くに座った人達と星座にまつわる神話の話をしていた。
オリオンがサソリに殺される話。いや、恋人のアルテミスに射ぬかれて死ぬ話もあるとか。
その時別の席からグラスを持って来たのが仲村先輩だった。
話に加わるでもなく、皆に酒を飲めと言うでもなく、ちょっと可愛い女の子の隣に座りいきなり肩に手を回し、その子を口説き始めた。
名前も覚えてないけどその子は困ってもじもじしていた。
ほとんど拒否のできないその子に対してどんどんエスカレートして迫る仲村先輩。
おれらのテーブルはシラケて、だんだんイライラしてきた。
おれは自分からケンカをしかけるような人間ではない。
でもマナーの悪い奴には頭に来る。
隣の太田もかなり頭にきたみたいだ。
(おい、殺っちゃっていいか?そげゆき)
(ああ、でもちょっと待て)
ピロリロン♪
わざと気付かれるようにおれはスマホでカメラに収めた。
「てめえ、なに撮ってんだよ。」
と意気込む仲村先輩。
おれはスマホをポケットにしまいながら立ち上がった。
「なんか文句あんのか。」
と仲村先輩が立ち上がった時、隣の太田も同時に立ち上がった。
すると少しビビった仲村先輩は
「先輩に向かって、なんだその態度は。」
と威嚇してきた。
「人間、やっていいことと悪いことがあるんじゃないんですか?」
「人間ならね。」
太田が加勢する。
完全に意識がこちらを向いたので、手で女の子に離れろと合図したとき、
「なんだなんだ、楽しくやろうぜ。」
四年生の部長が事を納めてくれた。
おれはこのあと楽しめるわけもなく、太田と途中退席した。
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