あいにくの空模様

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「そ、大学のサークルが縦社会ってのは聞いたことあるけど、あんな先輩がいたらやってられないって思ってさ。」 「そうですね。 でもあの次の週末、仲村先輩原チャ飲酒運転で事故起こして学校も辞めちゃったらしいですよ。」 「あ、そういう事だったんだ。 なんとなく辞めたって話は聞いたんだけど、直接関係は無いにしてもなんかわだかまりが拭いきれなかったからね。」 「じゃあ、もう時効ですよね。 部活復帰してくれませんか。 今、あたしが部長代行ですから。」 「ん、悪いけどそれはいいや。 おれ、あの頃も星空そのものより神話とか逸話とかに興味あってさ、 今は日本の昔話や童謡、いいつたえや都市伝説的なものをね。 意外と深いぞ、これ。」 「そうですか、そうですよね。 でも名簿には残しておきますから。」 そんなこんなで1時間が過ぎた頃、また西の空に雲がかかってきた。 「まずいね、あの雲が拡がったら。」 「そうですね、撮影を中断するタイミングが難しいですね。」 暫くおれたちの間に緊張感が走った。 西の雲は段々薄くなったので少しホッとしたのも束の間、急に風向きが変わり北から冷たい風が吹き込むようになった。 「星野、もう撮影中止にして撤収した方がいいぞ。 雲どころか雨や雪が降るかもしれないぞ。」 おれたちは撮影の中止を決め、荷物をまとめに入った。 カメラを片付けて、三脚をたたみ始めたとき、まだ空は雲に覆われているわけじゃないが、雪がちらついてきた。 三脚、椅子、その他の荷物をまとめ、移動を開始したときはかなり本降りに近い雪が舞ってきた。 星野の部屋に着いたときにはもう、終バスもおわっている時間だった。
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