あいにくの空模様

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だんだん雲が少なくなって南西の空から星空が見えてきた。 ふたご座流星群はふたご座辺りを中心に現れる。 今はまだふたご座は東の空にあるはず。 もっともふたご座自体はそれほど目立つ存在じゃないが、おうし座の後に登って来るオリオンの左上にある。 カストルとポルックスが並んでいるのでそれと判る。 5分位経つとおうし座が見えてきて、南の空はかなり雲が無くなってきた。 だが、まだ撮影のコンディションではない。 オリオンが見え、こいぬ座のプロキオンが見えた。 その時一筋の光がおうし座から西へ 「あっ」 「今の」 「見ました?」 「見た見た。」 まだ安心はできないが、なんとなく希望が見えてきた。 5分位するとカストルとポルックスが目視できるようになった。 星野が追尾装置付きのカメラを覗きこんだ。 「あと30分、いえ20分経ったら撮影開始できるかも。」 星空の撮影はシャッターを全開にしたまま固定、あるいは自動追尾させ、暫くそのままにしておかなければいけない。 高機能のデジカメならばいいが、やはりフィルムカメラでないと引き延ばしに耐えないらしい。 しかし、その間雲がかかると全体的に明るく露光してしまう。 チャンスはそう多くはない。 南の空がだいぶ開けてきた。 星野が撮影を開始させた。 「あとは雲がかからない事を願うだけね。」 またリクライニングさせた椅子に戻り、ふたりで並んで空を見上げた。
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