第1章

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 夏月はたった一人、 寒い街を歩いていた。  もうギイのところへは帰れない。 自分がいたら、 ギイに迷惑がかかる。 今日だって、 ギイは悪くないのに、 警察が来た……。  罪を犯したのは、 ギイじゃない。 りつ子に命令され、 売春していたのは、 夏月なのだ。  何も言わず、 走り書きも残さずに出てきてしまったけれど、 ギイはきっと判っているだろう。 むしろ厄介な荷物が自分から出ていってくれたと、 ほっとしているに違いない。  けれど、 これからどこへ行こう。 夏月は当てもなく、 周囲を見回した。  どこへも行く場所がない。 夏月はわずかな金額を持っただけで、 飛び出してきたのだ。
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