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「ええ。ネルグイというのは名無し、という意味です」
「名無し?」
「ええ。この国では子供は早死にをすることが多いのです。
人々は、悪魔が子どもを連れて行ってしまうと思っています。
ですから親は、悪魔が子どもを連れに来た時、名前がなければ見つけられないだろうと思って、名無し、と名前を付けるのです」
「そんなことは意味がないが」
「そうですね」
ネルグイは、だってあなたは僕のところへ来たから、と付け加えた。
「悪魔のいやがる名前というのはありますか?」
少年は無邪気に尋ねる。
「そうだな……。君はそれを知って誰かに教えるか?」
「教えてはいけませんか?」
「うーん。誰にも教えないと約束できるなら、教えないでもないが」
「じゃあ、誰にも言いません」
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