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航空機に乗った場合、事故に遭遇する割合が格段に増す。
レグバにしてみれば事故が起こり大勢の人間が死ぬのは意に介さないが、契約者が仕事の途中で死ぬのは困る。
「じゃ羽田でね。おーあれは何かね」
朝英は、那覇空港のきらびやかな売店に目を奪われ、シーサーの絵が描かれているTシャツの方へ走って行った。
「あ、そうだ」
かけ戻って来た朝英は、レグバに大事なことを打ち明けるように言った。
「にーにー、もしかしてわんがこれと違うTシャツでも、見間違えたらダメさあ」
「大丈夫だ。ぬーのようなうちなーじらはそうはいないからな」
お前のような沖縄顔はそうそういないぞ。とレグバは頷いた。
「そうか。じゃ、うにげーさびら」
お願いします。と朝英は片手を上げると、あげっエンダーのTシャツっやが。と今度こそ走り去った。
空港にいる行楽帰りの旅行者たちは幸せそうだ。その姿を見て一人残されたレグバはため息をついた。
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